素敵な学校

これからの人類のために、自分の快適な生活のために、すてきな学校を考えます。

茶髪禁止は世間の意識

今話題の茶髪黒染め問題について。
必要なのは、「なぜ茶髪がいけないのか」を学校が説明することだと思います。また、それを求めることだと思います。
  ◇
私は、なにしろ母親が文化学院卒ですし、自分は私服の都立高校に行っていましたから、茶髪やパーマがいけないというのは、漫画の中の半ファンタジーでした。
それが最初に就職した女子高で、「髪型・服装検査」をするはめになったのでした。
だいたい全員同じ服着てる時点で、きもちわりーと思ってしまうセンスだった私が、まー、細かいことはいまは割愛。
ともかく疑問に思いまくったので、「生活指導部」で一番信頼できそうな先生に聞きました。
「こんなことなんのためにやるんですか? 時間と労力の無駄です」
答えはこうでした。
「一度や二度パーマや茶髪にするのはふつうのことなんだ。でも、学校で禁止されているのに3度4度やる子は、他の問題がある。そのサインとして見るんだよ」
当時1980年代、「荒れる学校」の時代で、その女子高には暴走族(背後にはB団へのつながりも)が多い地域から来ている生徒がたくさんいた。ストレートの黒髪では、そういう仲間から弾かれるから、茶髪・パーマにするのだそうです。
ふーん。ほんとかい。調べてやろうじゃないか。
一学年800人の髪型検査の記録を、一人でつけ始めました。
なんと、その先生の言った通りでした。
3回記録があると、遅刻が20回超える。さらに暴力その他が出てくる。
うわーほんとだ。
  ◇
で、それを教えてくれた先生はちゃんとそれを「サイン」として観ていたんですな。勉強になったわ。ファンタジーじゃなくてすげー現実だってわかったわ。
でも、大多数の教師は、検査が目的化していた。
黒髪直毛が清楚な「女子高校生らしい」姿であり、その姿にしてやって、少しでもいい会社に就職させてやる、それが自分たちの仕事だと思っていた(「就職がいい高校」だったので、後半はわからんでもないが)。
  ◇
私は、生徒に、ちゃんと説明をしました。どうして茶髪・パーマが禁止されているか。そして言いました。
「規則には理由がある。その理由が違うと思ったら、規則を変えるよう求めよう」
すると、生徒にさとされました。
「先生はそういうけどね、世間はそうじゃないんだよ」
また、こういう生徒もいました。
「ぐちゃぐちゃめんどくせーんだよ、悪いことは悪いとひっぱたいてくれたほうが気持ちいい」
もちろん、私が言ったことをちゃんと受け止めてくれた子たちもいましたが、それはたいてい職員室で「頭はいいけど反抗的」と言われているタイプでした。
  ◇
今回のニュースについて、世間の反応を見ていると、まあ当然なんでしょうが、この規則の是非だけとりあげている。
どうしてこの学校でそこまでするようになったのか。
そこが大事だし、そこを考えないと、同じようなことは繰り返されるだけでしょう。
世間の意識が学校を作るのですよ。とくに「いい学校」じゃないところは、世間から後ろ指さされないようにしようとするんです。生徒のためにも自分のためにも。
日本の「世間」が問われていると言っていいんですけどね。